2018年8月22日〜24日にかけて、第3回若手研究集会を新潟県佐渡島にて開催しました。第2回に引き続き多くの学生から参加登録があり、総勢20名のうち約半数の11名が学生となりました。初日の東京大学・地震研究所の竹内希准教授による招待講演「地球の密度構造・減衰構造」では、地震波という伝播時間と強度の情報を持つ観測値から、どのような理論によって地球深部の密度構造・減衰構造が決定されるのかをわかりやすく解説いただきました。

また2日目・3日目には高圧地球科学、古地磁気学、地球化学など多岐にわたる分野の若手研究者の発表が行われ、学生・研究者から初歩的な質問や専門的な議論が飛び交いました。


2日目には、若手研究集会初の試みとなる野外巡検が佐渡ジオパークのガイドのもと行われました。気温35度を越える猛暑日でしたが、佐渡島に特徴的に産出するピクライト質玄武岩という、いわゆる宝石のペリドットと呼ばれる緑色の鉱物を含む岩石の露頭を見学しました。

続いて佐渡金山の坑道を見学し、金山の歴史やその成り立ちを勉強しました。

3日目は台風が近づいていたため帰宅が危ぶまれましたが、予定通り15時過ぎに本土へ到着し、解散の流れとなりました。

本集会を開催するにあたり、新潟大学の学生には事前・当日にお手伝いいただき、総括班からは参加した学生へ旅費支援をいただきました。また、コスモツーリスト新潟店の湯沢様、佐渡ジオパークの貞包様にもお力添えいただき、皆様のおかげで、若手研究集会を有意義な会とすることができました。この場を借りてお礼申し上げます。(青山 慎之介/新潟大学)
<参加者の声>
今回の若手会において高圧実験の話や東大の地震研の方の話していた地球の内部モデルなどの話を聞いて、コアやマントルを研究する方たちの分野の広さに驚くとともに、自分の学んでいる地質学の狭さを実感しました。また、今後研究していく中で、もっと広く学んでいく事が必要であると感じました。また、今回の若手会ではポスターやプレゼンを作る中で色んな工夫を見ることができて、とても今後の研究にとって為になる会でした。
(新潟大学B4/小根山大河)
私は同位体地球化学を利用してマントルダイナミクスを研究しています。普段の大学での研究では似たような分野同士で議論することが多いです。しかし、今回の若手会は「核-マントルの相互作用と共進化」というテーマのもとに開催されたものであったため、全く背景が異なるが向いている方向性は似たような研究者の方々と交流し、お互いの研究を知り、議論することが出来て有意義な会でした。
(東京工業大学/久保田勇祐)
今回はこの様な機会を与えていただきありがとうございました。色々な方の研究内容をただ聞くだけでなく自分も発表するという立場で参加できたのが良かったです。また核-マントルの分野の方たちで集まっていたため、ポスター発表では普段は聞かれないような質の高い問いがきた様に感じました。今回ポスターで指摘された箇所はきちんと直していこうと思いました。
(東京大学M1/田中友崇)
「核-マントルの相互作用と共進化」第三回若手研究集会 概要
| 日時 | 2018年8月22日~8月24日(二泊三日) ○集合 8月22日(水)12時 ○解散 8月24日(金)15時 | 
| 場所 | 新潟県佐渡島 サンライズ城が浜 (公式HP) | 
| 発表内容 | 核−マントルのテーマ設定にはこだわらず、各自が「おもしろい」と思う研究内容+新学術領域のメンバーとして現在進行中の研究内容の発表や各班の進展状況。また、他のメンバーとの研究協力促進のため、発表の中に自分の得意分野を盛り込む >> 若手の会について | 
| 講演 | 東京大学地震研究所 竹内 希准教授 | 
| 中日巡検 | 佐渡金山、宿根木のピクライト露頭、オリビンサンドを巡る | 
| 参加費 | 3万円 (二泊三日の宿泊費・往復汽船代・食事代・巡検参加費を含む) | 
| お問い合わせ | 若手の会ワーキンググループ:cm_wwg-at-core-mantle.jp | 
プログラム
8月22日(水)
12:00	新潟港集合、チケット配布&参加費回収
12:35	フェリー新潟港発 -昼食(弁当)-
15:05	佐渡着、送迎車でホテルへ
16:00	ホテル着
16:30	招待講演 (座長: 上木)
	竹内准教授 「地球の密度構造・減衰構造」45分+10分 (講演+質疑応答)
17:30	若手講演 (座長: 上木)
	新名「抵抗加熱式ダイヤモンドアンビルセルを用いた核マントル物質の研究」20分+10分
18:15	夕食
19:00	ナイトセッション (ポスター発表&懇談会)
	柿澤「Thermoelastic property of Al-bearing hydrous bridgmanite: implication to water content of the lower mantle」
	田中「高温高圧条件下での金属-ケイ酸塩メルト間の希ガス分配係数の実験的決定」
	大内「長野県白馬八方地域蛇紋岩の水素・酸素同位体の研究」
21:30	撤収
8月23日(木)
8:00	朝食
9:00	若手講演 (座長: 新名)
	加藤「花崗岩から分離した鉱物単結晶を用いた古地磁気強度実験」20分+10分
	青山「四種硫黄同位体比分析法の開発」20分+10分
10:30	若手講演 (座長: 新名)
	上木「機械学習を用いた全地球マグマ化学組成の分類と特徴抽出」20分+10分
	鎌田「X線吸収法を用いた高圧下の密度測定」20分+10分
12:00	昼食
13:30	巡検出発
14:00	宿根木到着 ピクライト・オリビンサンド
15:00	宿根木発
16:00	佐渡金山着 佐渡金山見学
17:00	佐渡金山発
18:00	ホテル着
18:15	夕食
19:00	ナイトセッション (ポスター発表&懇談会)
	岡本「Lower mantle viscosity estimated from the common diffusion mechanism of creep and grain growth」
	八木「Hydrogen Isotopic Compositions of Archean Mantle Estimated from a 3.2 Ga Gabbro」
	久保田「A recycling of subducted crust in Archean mantle inferred from S-MIF of the Belingwe komatiite」
	久保田「ケイ酸塩鉱物の酸素同位体分析システムの構築」
21:30	撤収
8月24日(金)
8:00	朝食
9:00	若手講演 (座長: 鎌田)
	野村「地球コア圧力での大ひずみ変形実験: 現状と展望」20分+10分
	五味「水星の熱電能と熱電ダイナモ」20分+10分
11:20	ホテル出発
12:40	フェリー佐渡発 -昼食(弁当)-
15:10	新潟港着・解散


 


